『ゴジラ-0.0』なぜゴジラはアメリカに上陸したのか?

『ゴジラ-0.0』のゴジラ
© 1954 TOHO CO., LTD.

『ゴジラ-0.0』

2026年4月15日、『ゴジラ-0.0』のディザー映像が公開された。
『ゴジラ-0.0』は2023年に公開された『ゴジラ-1.0』から3年ぶりとなる続編だ。

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公開された映像は46秒と短いものだが、そこから『ゴジラ-0.0』のゴジラが表すものを考えてみたい。

『ゴジラ-0.0』では神木隆之介、浜辺美波の続投がアナウンスされているが、予告編では前作でゴジラの被害に巻き込まれ、ラストで生還が明らかになった浜辺美波演じる典子が子供を寝かしつける姿が映し出される。
眼帯はおそらく前作で負った傷の後遺症だろう。あえて眼帯をそのままにしたのは『ゴジラ』の芹沢博士のオマージュかもしれない。

 

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芹沢大助を演じたのは平田昭彦。この眼帯は戦争で負った傷という設定だ
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芹沢大助は『ゴジラ』において、ゴジラを倒せる可能性を持った秘密兵器「オキシジェン・デストロイヤー」の発明者として『ゴジラ』のキーパーソンになる。浜辺美波演じる典子も『ゴジラ-0.0』のキーパーソンではないかという考察がファンの間では既に出てきているようだ。

 

『ゴジラ-0.0』より。眼帯姿の浜辺美波演演じる典子
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本作のキーパーソンは典子ではという考察も濃厚

また、神木隆之介演じる敷島浩一は今作でも戦闘機に乗って、復活したゴジラに立ち向かうようだ。なぜか壊れた住宅が宙に浮いているように見えるが、まるで小惑星の間を航行シャトルのように、敷島の戦闘機が障害物をすり抜けていく。

 

『ゴジラ-0.0』より。戦闘機でゴジラに立ち向かう敷島
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敷島は今作でも戦闘機でゴジラに立ち向かう
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ゴジラと自由の女神

そしてとりわけ大きなインパクトを残すのが、自由の女神の横を闊歩するゴジラの姿だろう。

 

『ゴジラ-0.0』より。自由の女神の横を闊歩するゴジラ
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なぜゴジラはアメリカに上陸したのだろうか?

今までの数あるゴジラ映画の中でも、海外へ上陸したゴジラは数えるほどしかない。
例えば1995年に公開された『ゴジラVSデストロイア』では、冒頭で中国返還前の香港に上陸している。

 

今作のゴジラは「バーニングゴジラ」と呼ばれる
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香港に突如現れたゴジラ。今作のゴジラは「バーニングゴジラ」と呼ばれる
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果たして今回のアメリカ上陸がどれくらいの長さのシーンなのかは不明だが、日本で生まれた怪獣が、映画をはじめとするエンターテインメントの本場であるアメリカへ上陸したというのは興味深い。

第一作目の『ゴジラ』公開されたのは1954年だが、『ゴジラ』もまたのハリウッド映画に大きく影響を受けた作品であった。それが1953年に公開されたユージン・ルーリーの『原子怪獣現わる』だ。
『原子怪獣現わる』はレイ・ハリーハウゼンによるストップモーションでリドザウルスを表現していたが、ストップモーションでは手間も費用も膨大になってしまう。

そこで着ぐるみ方式が採用された。ゴジラを演じた中島春雄は、特技監督の円谷英二からは「人形アニメでやれば7年かかるが、お前が演ってくれれば3月でできる」と言われたという。

 

東京へ上陸したゴジラ
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ゴジラの動きは象や熊を参考にしているという

『ゴジラ』の着ぐるみはストップモーションと比較して群を抜いたクオリティであったものの、それははっきりと何かに目に見えるカタチで記録されたわけでもない。

やがてCG技術の発達によってストップモーションも着ぐるみも特撮技術としては廃れていく。
これまでCG技術と言えばハリウッドの独壇場だったが、『ゴジラ-1.0』は第96回アカデミー賞では邦画・アジア映画史上初のアカデミー賞の視覚効果賞を受賞という快挙を果たした。私もまさか自分が生きている間に日本の映画が視覚効果で世界一になるなんて思ってもみなかった(『シン・ゴジラ』も奮闘していたが、やはり作品からCG臭さを消し去ることはできていなかったように思う)。

アメリカに上陸したゴジラ、それはゴジラがキャラクターとしてだけでなく、そのクオリティもアメリカに並ぶ作品になったことのメタファーではないのか?

ちなみに、下の画像を見てほしいが、ゴジラは明らかに自由の女神像の頭部ほどくらいの身長はある。

 

『ゴジラ-0.0』のゴジラは前作に比較して30メートル近く巨大化している
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自由の女神像と並ぶゴジラ

ゴジラ-1.0』のゴジラの身長は55.1メートルであった。自由の女神像はその頭部まで、台座部分も合わせると81メートル。前作からおよそ30メートルも成長したことになる。これに関しては別個体ではないかという考察も存在している。個人的にはそれはちょっと・・・と思うものの、何がゴジラの身長を急激に伸ばしたのかについては強い関心がある。

そもそも、『ゴジラ-1.0』におけるゴジラは、大戸島に現れた呉爾羅が核実験によって傷を負い、細胞が修復を繰り返す中で巨大化していった怪獣だ。呉爾羅の身長は約15メートル。こちらも35メートルの巨大化となっている。
このことを考えると、『ゴジラ-0.0』に登場するゴジラは『ゴジラ-1.0』以降の2年間の間に再び核実験の犠牲になったのではないかとも考えられる。

被害者としての原爆、加害者としての原爆

ここで現実の歴史を振り返ってみよう。
実は『ゴジラ-0.0』の舞台となる1949年はソ連が初めて核実験を行った年だ。

クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』でも描かれていたように、アメリカは第二次世界大戦が終結した後の世界でもソ連に対して優位に立つために原爆開発を急いだ。

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ゴジラ-1.0』の舞台である1947年こそアメリカの核実験数はゼロだが、その翌年には3回、そしてソ連が核実験を行った後は、その数を競うかのように1950年代には一気に年間2桁の核実験数が当たり前になっていく。

ゴジラ』に影響を与えたのは、『原子怪獣現わる』だけではなく、1950年代に行われた核実験だ。
1954年3月にビキニ環礁で行われたキャッスル作戦は、遠洋マグロ漁船である第五福竜丸をはじめとして数百隻を被爆させる事故を起こしている。

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言わば「原爆被害者としての作品」なのである。

一方、『ゴジラ-0.0』では次のようなシーンがある。

 

三発目は中止
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3発目は中止とのアナウンスだが、ゴジラを前にして本当に中止するのだろうか?

3発目とは何のことだろうか。2発は既に行われたらしい。おそらくこれは核攻撃だろう。通常兵器が効かない生物。通常兵器がダメなら核しかない。相手は人間ではないのだ。その意味で核攻撃のハードルは非常に低い(第五福竜丸被爆事件のように、この時代は核爆発において周辺環境や自然の破壊ということはあまり顧みられていなかった)。

これは言わば「加害者の原爆」と言えるだろう。

ハリウッドで製作されたゴジラ映画は1998年に公開されたローランド・エメリッヒ監督の『GODZILLA』と2014年に公開されたギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』はどちらも「アメリカの核実験がゴジラを生んだ」というオリジナルの設定からは微妙に目を逸らしている。
『GODZILLA』ではコジラを生んだのはフランスの核実験だとされており、『GODZILLA ゴジラ』では、アメリカの核実験を「真の目的はゴジラを倒すことであった」と正当化している。

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果たして『ゴジラ-0.0』の監督である山崎貴は、日本人として「加害者の原爆」をどう描くのだろうか。『ゴジラ-0.0』の舞台が日本だけでなくワールドワイドな作品であるのは予告編から明らかだ。

『ゴジラ-0.0』は2026年11月3日公開予定。

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