
※以下の考察・解説には映画の結末のネタバレが含まれています
『アイ・アム・レジェンド』の続編企画
以前から長らく続編の話が出ていた『アイ・アム・レジェンド』だが、どうやら本格的に製作が始動しそうだ。
監督には『アイ・アム・レジェンド』で監督を務めたマーティン・フローレンスから『クリード 炎の宿敵』のスティーブン・ケイプル・Jr.が就任したという。キャストについては、こちらもかねてから名前の挙がっていたマイケル・B・ジョーダンも出演し、また『アイ・アム・レジェンド』のウィル・スミスも続投する見通しとのこと。
ん?ウィル・スミスってダークシーカーズを倒すために自ら自爆したよね?
『アイ・アム・レジェンド』の別エンディング
そう思う方も多いだろう。しかし、続編では劇場公開版のエンディングではなく、劇場未公開のもう一つのエンディングが採用されることになるという。
この別エンディングに関して簡単に内容をおさらいしておくと、ダークシーカーズがウィル・スミス演じるネビルの家を襲うところまでは同じなのだが、彼らがネビルを襲った目的は彼らのボスの恋人をネビルから奪還することであった。

公開版より。ネビルを襲うダークシーカーズとそのボス
ネビルは「ダークシーカーズを人間に戻す」ために、数多くのダークシーカーズを捕らえては実験を行い、そのいずれもが失敗していた。ネビルはダークシーカーズの本当の目的を悟り、人間に戻りかけていた恋人のダークシーカーを、ダークシーカーのままにしてボスへと返す。
その後、ネビルは同じく生き残ったアナやその息子と生存者を探してアメリカを旅するというエンディングになっている。
なぜ劇場未公開版のエンディングを「正史」として採用したのか?
さて、なぜ『アイ・アム・レジェンド』の続編はこの劇場未公開版のエンディングを「正史」として採用したのだろうか?
それを探るためには、まず私たちの「現在」を見ることだ。
今朝(2026年4月26日)は衝撃的なニュースで目が覚めた。
ドナルド・トランプ大統領が夕食会で銃撃されたというニュースだ。容疑者はすでに捕らえられ、トランプ本人や同席した閣僚たちには被害はなかったようだが、しかし、トランプが銃撃されたのはこれが初めてではない。
最も有名なのは2024年7月13日、ペンシルベニア州のバトラーで大統領選の演説中に右耳を負傷した事件だろう。

この一枚は写真家でありジャーナリストのエヴァン・ヴッチによって撮影された
負傷してなお、星条旗を背景に拳を突き上げるトランプの姿は、何よりも雄弁に「強いアメリカ」の姿を体現していた。
個人的にはこの1枚の写真が大統領選挙の勝者を決めたと思っている。なお、この時の容疑者は8回発砲後、現場で射殺されている。
また、その2ヶ月後にはトランプのプレーするゴルフ場で銃を携帯した男が捕らえられている。のちに男はトランプの暗殺についてメモを記していたことが明らかになっている。
もちろん、暗殺という行為は容認できないものの、トランプの近年の動向を見ていると、個人的にはそこまで同情もできないのが本音である。
まずはいわゆるトランプ関税で世界を混乱に陥れ、「戦争をしない」という公約を覆し、国際法違反を犯してまでイラン戦争に踏み切った。これにより世界で石油資源の高騰を招いたことは言うまでもない。過去には、同様に相当の理由もなくイラク戦争を始めたジョージ・W・ブッシュという存在もいたが、彼は敬虔なクリスチャンであり、トランプほど尊大な男ではなかった。
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トランプは自らをキリストに模したAI画像をSNSに投稿し、ローマ教皇にさえ口撃を始めた。
アメリカでは、トランプのこうした言動に対して職務履行が不可能な大統領を罷免する憲法修正第25条の発動する案までも出されているという。
『アイ・アム・レジェンド』続編はどんなアメリカを描くのか?
これらのことを見ていると、『アイ・アム・レジェンド』公開時と今の違いがよくわかる。
トランプは「もう一度アメリカを偉大に」というキャッチコピーで選挙戦を勝ち上がった。
偉大なアメリカ、それは世界を守るために、自己犠牲を厭わず、極限まで英雄的に描かれた、劇場公開版のネビルの姿だ。ネビルは「怪物」からアナやその子供、ひいては人類を守るために爆散する。

公開版ではネビルはなぜダークシーカーズが執拗に自分を狙うのかが理解できない
だが、未公開版の別エンディングでは、ネビルこそが「怪物」だったことがわかる。ダークシーカーズから見れば、ネビルは仲間を次々にさらい、何人も殺してきた怪物なのだ。
ネビルはそれまで自分の正義を疑わなかった。ダークシーカーズに知性や社会性、誰かを愛する気持ちがあることも思わなかった。ただ、ネビルにとってダークシーカーズは強靭で凶暴な動物同然であった。ネビルはその事実に愕然として、ダークシーカーズに「すまない」といい、人間に戻りかけていた、ボスの恋人をダークシーカーに戻し、ボスへ渡す。
今のトランプはネビル同様の「怪物」ではないか。「怪物」は「英雄」として描かれるべきではない。
トランプが自らをキリストに模した投稿には世界から猛批判が集まった。中にはキリストがトランプを平手打ちするAI画像まで登場している。
『アイ・アム・レジェンド』から20年後、ようやく続編が形になりつつある。強いアメリカを描いた前作だったが、果たして今作はどんなアメリカを描くようになるのだろうか。
『アイ・アム・レジェンド』続編の公開日などはまだ未定だ。