
『トイ・ストーリー』30周年!
『トイ・ストーリー5』公開のときに、しきりに30周年ということもPRされていた。
『トイ・ストーリー』の日本公開が1996年。これを描いている今が2026年なので、『トイ・ストーリー』の公開時にはまだ生まれていなかった人も今では家族や子供を持った人も少なくないだろう。私も小学校低学年から、40手前のオジサンになってしまった(まだ家族や子供もおりませんが)。
なぜこれほどのヒット作となったのか。
日本語版でウッディの声優を務めている唐沢寿明は、シリーズを振り返って「一作目で終わると思っていた」と述べている。それが今や『トイ・ストーリー5』まで製作され、短編やスピンオフも合わせるとその数は10をゆうに超える。
なぜ『トイ・ストーリー』は愛されるのか
さて、今回は『トイ・ストーリー』シリーズが、なぜこれほど長期にわたって人々に愛されてきたのかを考察していこう。まずは『トイ・ストーリー』だ。
1作目の『トイ・ストーリー』は、引っ越しを控えたアンディのもとに最新鋭のおもちゃであるバズ・ライトイヤーがやってくることで物語が動き始める。
今作ではバズの人気に嫉妬してバズを嫌がらせを仕掛けるなど、ウッディの人間性(というかオモチャ性?)もまだ未熟な面が目立っている。
これを書いている2026年は『トイ・ストーリー』日本公開30周年だという。アメリカで『トイ・ストーリー』が公開されたのは1995年だが、日本では翌年の1996年に公開されたのだ。2026年には『トイ・ストーリー5』が公開された。[…]
2作目となる『トイ・ストーリー2』は一転してウッディのバックグラウンドが明らかになる。ウッディは実はテレビ番組『ラウンドアップ』の主人公で、超プレミア価格がつくほどのレアもののオモチャだったのだ(なぜそんな逸品がアンディの元へやってきたのかという疑問は残るが)。ウッディは自身の価値を知るおもちゃ店の主人アルに盗まれ、日本の博物館で『ラウンドアップ』の仲間たちと飾られる運命になる。
この『トイ・ストーリー』と『トイ・ストーリー2』では、登場人物の顔はほとんど映されない。もちろん、直接おもちゃと触れ合うアンディやアル、修理屋といった面々は別だが、アンディの母親など、特に「大人の人間」にはこの傾向が顕著だ。
『トイ・ストーリー』の解説で、『トイ・ストーリー』のルーツには日本にある「ブリキのおもちゃ博物館」の存在があると書いた。[sitecard subtitle=関連記事 url=https://blackmaria-never[…]
どちらの作品も、おもちゃの物語としては面白い。だが、人間にフォーカスすると、例えば1作目のアンディはただ引越しの前日にゲームセンターへ行って、翌日、母の運転で新しい家に向かっただけだ。
2作目では、サマーキャンプに行って帰ってきただけ。
このように人間側のドラマがほとんど希薄なのだ。もちろん、「トイ・ストーリー(おもちゃの物語)」であるから当然なのだが、もしシリーズがそのまま続いていたら、今日のような人気を得られていたか、個人的には大いに疑問だ。
『トイ・ストーリー3』はなせ名作なのか?
それが大きく変わったのは『トイ・ストーリー3』だ。
『トイ・ストーリー3』では、もちろんおもちゃ達の側にもこれ以上ないほどのドラマや困難が待ち受けている(おそらくダンテの『神曲』を下敷きにしているのではと思わせる)。
[sc name="review" ][/sc]もともと『トイ・ストーリー』にはそこまで思い入れがあったわけではなかった。日本公開が1996年だから、初めて観たのは恐らく10歳ごろ。母親に連れられて行った美容院のテレビだった[…]
一方で、アンディにも大きな転機が訪れる。大学への引っ越しだ。それは同時におもちゃとも別れることを意味している。
初めてアンディは人生に対して自分自身で一歩を踏み出す。
第1作目の『トイ・ストーリー』も引っ越しの場面はあるが、アンディが母の運転する車の後部座席に座っているのに対して、『トイ・ストーリー3』ではアンディ自身がハンドルを握っているのも象徴的だ。
大学への引っ越しはおもちゃとの別れだけではなく、家族との別れでもあった。空っぽになった部屋を見渡して、子供が家を出ていくことへの寂しさに押しつぶされそうになる母の姿も印象深い。
『トイ・ストーリー3』は『トイ・ストーリー』の公開から15年後の2010年に公開された。『トイ・ストーリー』を観て育った子供は、『トイ・ストーリー3』の公開時、すでにアンディのような経験をしてきていただろう。また子供に『トイ・ストーリー』を観せた親たちも、『トイ・ストーリー3』の頃には、同じように子供の巣立ちを経験していただろう。
『トイ・ストーリー3』が名作なのは、人間側の成長がしっかりと描かれていたからだ。
考えてみてほしい。共感なき映画で本当に感動できるのか?子供なら共感はそう重要ではない。彼らはまだ共感すべき人生経験も希薄だから。
『トイ・ストーリー3』以降の変化
『トイ・ストーリー4』、『トイ・ストーリー5』と『トイ・ストーリー3』以降は明らかにシリーズに変化が加わった。
『トイ・ストーリー4』以降の人間側の主人公はアンディからボニーに移る。
おもちゃたちの冒険とともに、彼女の成長も両輪で描いているのが今の『トイ・ストーリー』シリーズだ。
『トイ・ストーリー5』では、ボニーの両親やボニー以外の子供たちなど、みんな顔まで当たり前のように映し出される。
今作では、友達がなかなか作れないボニーのために、ジェシーをはじめとするおもちゃたちの奮闘が物語の主軸だ。もはや、おもちゃではなく、人間の成長が中心にあり、おもちゃはそれをアシストする構図になっている。しかし、それこそが『トイ・ストーリー』シリーズが、30年続いてきたヒミツなのだろう。
『トイ・ストーリー』シリーズは、おもちゃから始まり、人間の成長を描いた。
、