9.11 同時多発テロとアメリカを映画はどう描いてきたのか

2001年9月11に起きたテロは世界を一変させた。アメリカ史上最も多くの犠牲者を出したテロ事件であり、その後の世界情勢を塗り替えた出来事なのは間違いない。その影響はあらゆる所へ及んだ。

もちろんハリウッドも例外ではない。テロから2ヶ月後の11月11日にブッシュ政権のカール・ローブ次席大統領補佐官がアメリカ映画協会のジャック・ヴァレンティ会長やパラマウントの重役を召集して会議が開かれた。その中で政府から下記のことをハリウッドに期待していると伝えられたという。(以下は木谷佳南著『アメリカ映画とキリスト教』から引用 )

・対テロ・キャンペーンはイスラム戦争ではないこと
・アメリカのために奉仕する機会が与えられていること(兵役の呼び掛け)
・米兵やその家族に対する支援が必要であること
・9月11日に受けた攻撃は文明に対する攻撃であり、全世界的な対応が必要であること
・子どもたちに対する安全が再保障されなければならないということ
・対テロ・キャンペーンは悪に対する戦いであるということ

冷戦期-中東とアメリカの蜜月

『ランボー3/怒りのアフガン』

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だが、冷戦期はアフガニスタンとアメリカが蜜月関係にあったのも事実だ。1990に公開された『ランボー3/怒りのアフガン』はそのことを証明してくれる作品だ。
『ランボー3/怒りのアフガン』はランボーがアフガニスタンてソ連に捕らえられたトラウトマン大佐を救出しに行くストーリーだ。なぜトラウトマンがアフガニスタンにいたか。それはソ連によるアフガニスタンの侵攻を食い止めるためだ。アフガニスタンにたどり着いたランボーはソ連兵と戦っているアフガニスタンのゲリラ兵士と共闘し、トラウトマンを助け出し、ソ連兵をアフガニスタンから退ける(本編の101分の間に108人もの人が死ぬ内容から「もっとも暴力的な映画」として1990年度のギネスブックに掲載されたほどだ)。
奇しくもアメリカでの公開の10日前にソ連はアフガニスタンから撤退する。1991年にソ連は崩壊し、ロシアへ変わっていくわけだが、ソ連崩壊の背景にはアフガニスタン侵攻がソ連の経済状況を悪化させたこともその一因だと言われている。

『ランボー3/怒りのアフガン』のエンドロールには「この映画をすべてのアフガン戦士たちに捧げる」という謝辞も流れる。9.11でアルカイダから攻撃を受けた今のアメリカではあり得ないことだ。しかし、アフガン戦士の中には後にアルカイダの指導者となるウサマ・ビン・ラディンもいた。
ソ連軍が撤退した後のアフガニスタンではゲリラ兵士同士の対立から内戦状態となり、それがタリバンの台頭を招くことになる。

9.11前のアメリカ-イスラム過激派の脅威とリアル

『トゥルーライズ』

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1994年に公開されたジェームズ・キャメロン監督の『トゥルーライズ』もまた今では作ることのできない映画かもしれない。
アーノルド・シュワルツェネッガー演じるアメリカ直属のスパイ組織に属する敏腕のエージェントが中東のイスラム過激派によるテロを阻止するアクション映画なのだが、全体的にコメディタッチで描かれており、シュワルツェネッガーのコメディアンとしての才能も遺憾なく発揮された作品となった。『トゥルーライズ』は制作費が初めて1億ドルを超えた映画でもあり、1994年のアメリカの興行収入では第3位を記録したヒット作だ。
実は今作には続編の企画もあったのだが、監督のジェームズ・キャメロンは9.11の発生を受けて続編企画を中止させている。キャメロンは9.11後の世界ではテロリストをコミカルに描くことはできないと語っている。
『トゥルーライズ』で描かれているようにイスラム過激派によるテロは9.11以前からアメリカでは脅威の一つだった。

『マーシャル・ロー』

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9.11の3年前、1998年に公開された『マーシャル・ロー』はそのことを端的に示している。『マーシャル・ロー』はニューヨークが連続テロに巻き込まれるという話なのだが、まるで9.11を予言したかの内容に驚かされる作品だ。
ニューヨークでイスラム過激派による爆弾テロが続けざまに起きる。FBI特別捜査官のアンソニー・ハバードはCIAや軍隊との軋轢に直面しつつも、テロリストを捕まえ、連続テロを終わらせようと奮闘する。
しかし、とうとうFBI本部まで爆破されたニューヨークには戒厳令が敷かれ、軍隊によってアラブや中東系の人々が半強制的に隔離される。ニューヨークは封鎖され、市外への移動も制限されることとなった。

監督のエドワード・ズウィックは『マーシャル・ロー』のメッセージは「自由の大切さ」だと語っている。劇中での軍の強権的かつ人種差別的な行動に多くの市民が抗議のデモを行っている様子が描かれる。だが、ズウィックの思いとは逆に「アラブ人=テロリストの偏見を助長する」として本作は上映中止に追い込まれたという。
9.11の発生後、ニューヨークには州兵が派遣され、実質的な戒厳令状態になったという。しかし、現実ではムスリムへの差別やヘイトクライムは止まず、テロとの戦いを終わらせることはできなかった。

9.11直後のアメリカ-ハリウッドが提供した「偉大なるアメリカ」

9.11のテロが起きた時、テロを描いたさまざまな映画が公開延期に追い込まれた。
代表的なものが、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『コラテラル・ダメージ』だろう。同作は無差別テロによって妻子を失った消防士の男が単身コロンビアに復讐へ赴く話だ。
白い布に覆われて収容される遺体と悲しみに暮れるシュワルツェネッガーの様子がどこまでリアルかと言われると何とも言えない部分はあるが、実際のテロの後ではあまりに生々しいと判断されたのだろう。

代わりに人気を集めたのが「偉大なるアメリカ」を賛美したような作品だ。
9.11の後にヒットした映画は『スパイダーマン』や『ブラックホーク・ダウン』など、アメリカの誇りや信念を前面に出した作品が多い。

『ブラックホーク・ダウン』

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特にモガデシュの戦いをテーマにしたリドリー・スコット監督の『ブラックホーク・ダウン』は「誰一人置き去りにしない」という海兵隊の掟をキャッチコピーにしており、困難な状況でも決して諦めないアメリカ軍を賛美した内容だ。また、『ブラックホークダウン』は9.11以降、ムスリムを悪として描いた最初の作品でもあった。
9.11以降、ハリウッドにおいてもアメリカにとっての仮想敵は中東のイスラム過激派になった。だが、フィクションの中で彼らを敵にすることは難しくなってしまった。現実が映画を超えてしまったのだ。9.11後の映画では『ブラックホーク・ダウン』や『ゼロ・ダーク・サーティ』、『アメリカン・スナイパー』のような実話を元にした作品の中でイスラム過激派は敵として存在している。

絶対絶命の危機に陥ったアメリカ軍の状況は9.11によって脅かされたアメリカの威信にも通じるものがあっただろう。
それでも「誰一人見捨てない」という信念のもと、仲間のために戦い抜く兵士達の姿はアメリカの強さを垣間見ることができる。『ブラックホーク・ダウン』は「アメリカ国民の愛国心を高揚させることが期待できる」として当初の公開日よりも前倒しで公開された。

『パッション』

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9.11の影響を宗教的な角度からも見ておきたい。
2004年に公開されたメル・ギブソン監督の『パッション』はそのタイトル通り、キリストの受難を描いた作品である。キリストの物語はユダヤ人を悪として描いたと抗議されるリスクがつきまとう。メル・ギブソンは厳格なカトリック教徒としても知られている。
また9.11は図らずともキリスト教とイスラム教の対立の図式を表したとも言えるだろう。
ブッシュ自身がキリスト教原理主義とも言える信仰の持ち主であり、ブッシュはしばしばその演説の中に善悪二原論を持ち出した。
そのような中で、今作がヒットしたのは偶然ではないだろう。

娯楽作に潜む9.11の影

アメリカ賛美の波が一段落した後には「忘れてはならない歴史」として映画の中にそれと連想させる作品も出てきた。

『宇宙戦争』

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2005年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』には1898年に発表されたH・G・ウェルズの同名小説を原作としながらも意図的に9.11のイメージが重ねられている。
車で街から逃げる途中、窓の外の崩壊していく街並みを見ながらダコタ・ファニング演じるレイチェルは「テロなの?」と叫ぶ。世界貿易センタービルに旅客機が衝突していったように、『宇宙戦争』でも旅客機の墜落シーンが描かれる。
スピルバーグは本作について「僕たち自身がテロリストたちに攻撃されるかもしれないことをどれほど恐れているかを反映している」と述べている。

『ダイ・ハード4.0』

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また、2007年に公開された『ダイ・ハード4.0』は「対イスラム原理主義者」という枠組みから抜け出し、国内のサイバーテロリストとの戦いを描いている。
ここには二つの視点を推測することができる。

ひとつは前述の通り、現実が映画を超えたことで、それまで海外の脅威という敵の存在を変更せざるを得なくなったのではないかということ。『ダイ・ハード』、『ダイ・ハード2』、『ダイ・ハード3』そのいずれもがテロリストは海外から、もしくは海外と深い繋がりを持っていた。一作目のハンス・グルーバーは西ドイツ人で左翼テロ組織のリーダーという設定だ。二作目の悪役は元アメリカ陸軍特殊部隊のスチュアート大佐というアメリカ人だが、その目的は南米の麻薬王のエスペランザ将軍の奪還だった。

もうひとつはアラブ系への偏見を積極的に解消しようとしている点だ。
前述の『コラテラル・ダメージ』でコロンビア系のテロリストを演じたクリフ・カーティスが、今作ではFBI副局長としてブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーンを強力にサポートする。クリフ・カーティスはアラブ系も演じてきた俳優だ。このキャスティングは9.11以降に生み出された偏見から脱しようとする試みだとも言えるだろう。

権力への反旗

次にハリウッド起きたのは政権への疑念だ。9.11のテロ事件はアメリカ全体が深い悲しみを共有した出来事には疑いようがない。だが、ブッシュ政権はテロのすぐ後にアフガニスタンに対して報復行動を行い、続いて大量破壊兵器の保有を大義にイラク戦争を始めた。
2003年に当時のアメリカ合衆国大統領のジョージ・W・ブッシュはイラクへの戦闘を開始した。のちにイラク戦争は2000年のブッシュ政権誕生時からの計画であったことが暴露されているが、表向きは9.11に端を発する「テロとの戦い」の一環であった。
「イラクこそがテロの黒幕であり、大量破壊兵器を隠し持っているはずだ!」
それがブッシュの唱えたイラク戦争の動機であったが、結局開戦から今日まで大量破壊兵器は見つからず、今日におけるイラク戦争の大義は大きく揺らいでいる。当時ブッシュの開戦理由に納得できずフランスとドイツ、ロシア、中国は開戦には反対の立場をとっていた。

『ブッシュ』

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イラク戦争開戦時のブッシュ政権の内実はオリバー・ストーンが『ブッシュ』という作品で映画にしている。
ブッシュはイラクとの戦争を望んでいたが、生粋の軍人であった国務長官のパウエルはイラク戦争において慎重な姿勢を最後まで崩さなかった。パウエルはイラクに先制攻撃を仕掛けるのであればそれに足る正当な理由が必要であると考えており、国連の承認も絶対だと思っていた。
たが、チェイニーはそうではない。彼はイラク戦争の大きな目的はイラクにある石油だという。アメリカが世界を支配するにはイラクやイランにある天然資源を確保することが不可欠だった。そのためにはイラクに大量破壊兵器があるという建前は絶対だった。

そして2003年の3月20日、イラク戦争が始まる。
しかし、そうやって強硬的に戦争を始めたにもかかわらず、大量破壊兵器は見つかないままで、5月1日に大規模戦闘終結宣言を出したはずの戦争も実際はテロとの終わらない戦いに突入していた。ここでも当時の小泉総理は国会答弁においてイラクの大量破壊兵器保有を理由に戦争を支持した責任を問われているが、「見つからなかったから無かったことにはならない」との迷答弁をしている。

『ブッシュ』でもイラク戦争が泥沼の様相を呈するにつれて、政権の不手際について政権内で、責任追求が始まる場面がある。大量破壊兵器が発見されない件と共に、9.11前の不穏な情報を無視した件が議論されるが、結局みな当時の行動を正当化するばかりだ。『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』でもオリバー・ストーンはこの点を批判している。

前述の『ランボー3/怒りのアフガン』でトラウトマンは捕虜となった後にソ連のザイセン大佐にこう述べている。
「愛国心をもったゲリラがいる国は征服できない。我々はそれをベトナムで体験した」
終わらないイラク戦争の現実を見た時に、この言葉は大きな皮肉となって響いてくる。

『フロスト×ニクソン』

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同じく映画監督のロン・ハワードもこのブッシュ政権の強権的な姿勢に対し、『フロスト×ニクソン』という作品を製作している。同作は政権側の人間が民主党員を盗聴したウォーターゲート事件を取り上げている。ウォーターゲート事件のために辞任したリチャード・ニクソンにイギリスの司会者デヴイッド・フロストがテレビでインタビューした史実を映画化した作品だ。
この時フロストにはいまだウォーターゲート事件で謝罪の言葉を発していないニクソンにみずからの関与と罪を告白させ、それによって得た名声でアメリカ進出を果たしたいという野望があった。またニクソンの方にも自身に付けられたダーティーなイメージを削ぎ落とし、再び政界に返り咲きたいという思惑があった。

インタビューは終始ニクソンのペースで進み、フロストの質問も上手にはぐらかされてしまう。そんなニクソンには余裕すら感じられたという。
しかし、インタビューの最終日に事件は起きた。盗聴の隠蔽工作をした部下をニクソンは逮捕しなかったkとが明らかになる。そのことをフロストに問われた際に「大統領には多くの仕事がある。法律の厳密な意味では合法ではないことも。より大きな国益のためにやるのだ」そうニクソンは答えてしまう。
「待ってください、こういうことですね、大統領は国益のためなら非合法な行為ができる」
思わずニクソンは「大統領がやるのなら非合法ではないという意味だ」と答えてしまう。監督のロン・ハワードはブッシュ政権でも同じ言葉を聞いたという。
『フロスト×ニクソン』はそんな繰り返される権力の暴走を批判した映画だ。

『ニュースの真相』

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続いては2015年に公開された『ニュースの真相』も見ておきたい。同作は2004年に起きた21世紀最大のメディア不祥事と呼ばれたブッシュの軍歴詐称事件をテーマにしている。このニュースは結局誤報ということで片づけられたが、もし真実であったならば、ブッシュの再選はなかったかもしれない。2004年にはそうした政権批判の土壌は生まれていたことになる。
このニュースを報じたCBS自体がリベラル寄りということもあるが、イラク戦争から1年たった時のブッシュの評価という意味でも興味深い。
そして、この1年後の2005年に公開されたのが『グッドナイト&グッドラック』だ。

『グッドナイト&グッドラック』

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他にもジョージ・クルーニーが監督・脚本・出演を努めた『グッドナイト&グッドラック』という映画もある。『グッドナイト&グッドラック』は2005年に公開された映画で、赤狩りの時代に公然とマッカーシーに立ち向かったキャスターのエドワード・R・マローを主人公にしている。

赤狩りとは政府が国内の共産党員および共産主義者を公職から追放することだ。赤狩りを進めた中心人物は共和党右派のジョセフ・マッカーシー。赤狩りは極端化し、少しでも共産主義と関わった者は職を追放されたが、自分自身が標的にされることを恐れて誰も表立ってマッカーシーを批判できない状態の中で最初に表立ってマッカーシーを批判したのがCBSの人気キャスターであったエドワード・R・マローだ。
マローのマッカーシー批判をきっかけに多くのメディアもマッカーシー批判を繰り広げることになる。
ジョージ・クルーニーはブッシュ政権に迎合し、イラク戦争を非難することのなかった当時のメディアへの批判を『グッドナイト&グッドラック』に込めた。

『グッドナイト&グッドラック』『フロスト×ニクソン』どちらも実際に過去に起きたことを取り上げている。歴史は繰り返すのだろう。
もちろん、他のジャンルの映画も時代に敏感に反応した。
その代表的な映画がクリストファー・ノーランの『ダークナイト』だ。

『ダークナイト』

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ダークナイト』はアメリカン・コミックスの中でも代表的な『バットマン』を実写化した作品なのだが、単なるアメコミ映画の枠には収まらない内容は政権批判にとどまらず、アメリカ自体の在り方にも深い問いを投げ掛けた作品だった。
今作ではヒース・レジャー演じるジョーカーの存在感が突出している。
『ダークナイト』が描いたのは国家としての弱いアメリカだ。
9.11をきっかけに「世界の警察」としてテロとの戦いや民主化を建前にアフガニスタンやイラクに戦争を仕掛けたアメリカだったが、それは結果として終わらないテロとの戦いを誘発しただけだった。
そんなアメリカの正義感は今作のバットマンに重ねられる。バットマンは日夜自警活動として悪人を成敗している。それが治安の悪化したゴッサムを救う手段だと信じているからだ。だが、そんなバットマンの目の前に現れたのがジョーカーだ。ジョーカーは世界征服や富など、世俗的な目的は何もない。ジョーカーの理由なき犯罪はゴッサムに無秩序をもたらす。バットマンの信念を揺るがすことがジョーカーの楽しみのひとつなのだ。バットマンはそこで、自分自身が存在するからジョーカーもまた存在するという矛盾に直面する。アメリカの中東での戦争がイスラム過激派を生んだように。

そして、2008年に共和党のブッシュは退陣し、次に民主党のバラク・オバマが大統領に選出された。オバマは一貫してイラク戦争に反対しており、イラクからの早期撤退を選挙では掲げていた。
だが、戦争状態は終わらず、オバマはイラク戦争終結を宣言したのは2011年12月14日のことだった。
ただ、その後もイラクは不安定であり、テロは続いている。

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BLACK MARIA NEVER SLEEPS.

映画から「時代」と「今」を考察する
「映画」と一口に言っても、そのテーマは多岐にわたる。
そしてそれ以上に観客の受け取り方は無限大だ。 エジソンが世界最初の映画スタジオ、通称「ブラック・マリア」を作った時からそれは変わらないだろう。
映画は決して眠らずに「時代」と「今」を常に映し出している。

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